ロボットによる自動化を実現するには。そのメリットやトレンドを紹介

製造業における人手不足が深刻化するなか、労働力を補う手段としてロボットによる自動化が広がっています。産業用ロボットの設置台数は世界規模で増加傾向にあり、特にアジア圏で大きな伸びが見られます。
近年の技術進歩によってロボットはより柔軟で協働的な存在となり、生産ラインの効率化と品質向上により大きく貢献できるようになりました。
この記事では、自動化ロボットのトレンドや導入のメリット、実際の導入プロセスについて解説します。
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より人間に近い位置で稼働する協働ロボットがトレンド
協働ロボットは、人間と同じ空間で安全に作業を行うことを目的として設計されたロボットです。これまで自動化が難しかった工程や、微細な判断が必要とされる作業など、より人間に近い位置での活動を実現しています。
従来の産業用ロボットとは異なり、高い安全性を持ち、人と共同で作業を進めることが可能です。これにより、人間が危険な作業や単純作業から解放され、より創造的で複雑な業務に集中できるようになります。
部品の組み立てや検査作業においても人間とロボットが協力することで生産効率と品質の両方を向上させることが期待されています。
ロボットによる自動化のメリット
生産ラインや工場へのロボット導入は、単に作業を効率化するだけでなく、現代の製造業が抱える多様な課題に対する有効な解決策となり得ます。
人手不足への対策
深刻な人手不足に直面する製造業において、ロボットによる自動化は効果が期待できる解決策です。
特に単純作業や危険な作業をロボットに代替することで、貴重な人的資源をより付加価値の高い業務に集中できます。
加えて、夜間や休日の無人稼働によって生産能力の向上も図れます。
品質や生産性の安定
ロボットによる自動化は、人間の作業では避けられない品質のばらつきを削減します。
プログラムされた動作を正確に繰り返すことで、一定の品質を維持して不良品の発生を最小限に抑えることができます。疲労や集中力の低下がないため、長時間の作業でも品質の保持が可能です。
また、センサーによる検品で、製品の品質安定と不良品の流出防止に貢献します。
精密作業の自動化
高精度なセンサーや制御システムにより、人間では困難な微細な組付け作業や高精度な加工が可能になります。
ネジ締めや部品の研磨など、これまで自動化が難しいとされていた工程が、センサーやロボット制御技術の発展によって実現に至っています。
長年の経験と勘で行われてきた作業を自動化することで、さらなる効率化が期待されています。
作業員の安全確保
危険な作業環境からの人間の排除により、労働災害のリスクを抑えることが可能です。
高温、低温、有毒ガス、放射線などの危険な環境での作業をロボットに代替することで、作業者の健康と安全を守れます。重量物の搬送作業や、反復的な動作による職業病のリスクも軽減されます。
また、緊急時の自動停止機能や予防保全による機械の故障防止により、より安全な作業環境の構築が可能です。
自動化ロボット導入の流れ
ロボットによる自動化を成功させるためには、検討を経た計画の策定が必要です。現状分析から導入後の運用まで、段階的なプロセスを踏むことで、効果的な自動化を実現できます。
①作業フローを文書化し分析する
自動化には、作業プロセスの詳細な分析が重要です。
作業手順の文書化により、どの工程が自動化に適しているかを明確にします。また、現状の課題を定量的に把握するには、作業時間の計測や品質データの収集が必要です。
さらに、作業者へのヒアリングにより、現場の問題点や改善要望を収集します。
②自動化する工程と目的を明確にする
自動化を優先する工程を洗い出したうえで、その目的を明確にします。
目的の例としては、生産スピードの向上・作業負荷の削減・安全性の向上などが挙げられます。
この段階で目標値や品質基準を設定して、自動化の成功指標を明確にすることが重要です。
③専門家に相談する
システムインテグレーターや制御機器メーカーの技術者と連携して、自動化ソリューションを設計します。
現場の詳細な調査と分析を通じて、技術的な課題や制約を事前に把握して対策を検討します。
この際、複数の専門家からの提案を比較検討して、条件に合ったパートナーを選定することがポイントです。
④ラインを構想し要求仕様書を作成する
ラインの構想について詳細な要求仕様書を作成して、生産能力・品質基準・安全要求・保守性など、システムに求める機能と性能を明確に定義します。
レイアウト設計では、既存設備との整合性や将来の拡張性を考慮して、効率的な作業フローを実現します。
また、操作性や保守性を向上させるため、作業者の動線や保守点検のしやすさを設計に組み込むことが重要です。
⑤導入するロボットと稼働させるシステムを選ぶ
ロボットの種類、可搬重量、動作範囲、精度などの仕様を比較検討して作業内容に合う機種を選択します。
制御システム、センサー、エンドエフェクタなどの周辺機器も含めた総合的な評価により、システム全体の性能と信頼性を確保します。
また、既存の生産管理システムとの連携や、将来のアップグレード対応についても考慮が必要です。
⑥保守や運用について取り決める
定期点検の頻度や内容、消耗品の交換サイクル、故障時の対応手順などを明確に定めます。
作業者への教育訓練により、日常的な操作や簡単な保守作業を内製化して運用効率を向上させます。また、メーカーやシステムインテグレーターとの保守契約による専門的な技術サポートの確保も欠かせません。
トラブル発生時の連絡体制や対応手順を整備して、生産停止時間を最小限に抑える体制を構築します。
ロボットによる自動化を成功させた事例
パレットへの荷積み作業を行う現場において、ロボットによる自動化を成功させた事例です。
▼課題
既存設備と限られた作業スペースを活用しながら、荷積み作業の生産性を最大化する必要がありました。
▼解決策
安全柵なしで人と同じ空間で作業できるオムロンの協調ロボットを導入しました。
▼導入後の効果
- 従来の作業ロボットでは難しかった省スペース化が可能となった
- 投資対効果の高い自動化が実現した
- セーフティ制御により安全性を確保した
オムロンの協調ロボットによる自動化で、省スペース化と安全性を担保した荷積み能力の最大化に成功しています。
この事例について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
まとめ
この記事では、ロボットによる自動化について以下の内容を解説しました。
- 自動化ロボットのトレンド
- ロボットによる自動化のメリット
- 自動化ロボット導入の流れ
- ロボットによる自動化を成功させた事例
自動化のメリットは、人手不足対策、品質向上、安全確保と多岐にわたります。成功のポイントは、現状の詳細な分析、明確な目的設定、専門家との連携、そして段階的な導入です。
『株式会社エフ・エー・アネックス』は、東北地域の製造業における自動化推進のパートナーとして、オムロンの制御機器を中心とした総合的なソリューションを提供しています。
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